「催眠」「痴漢」「泥酔」・・・
ここ数年、国内大手のアダルト動画配信サイト「FANZA」で、これらのキーワードの検索が出来なくなっているのをご存知でしょうか?
今回の記事では「FANZA」で検索できなくなった言葉にどんなものがあるのか?
そして、これは「FANZA」だけで見られる現象なのか?合わせて検証してみたいと思います。
AV業界における表現の自主規制
第1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第2項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
日本国憲法第21条にはこのように規定され、これを一般に「表現の自由」と呼んでいます。
それならどうして「無修正動画」や「児童ポルノ」は違法なのでしょうか?
テレビで「オマンコ!」と叫んだバラドルは謹慎をしないといけないのでしょうか?
松本明子放送禁止用語事件(4文字言葉事件) 言葉の意味知らなかった!https://t.co/LTNeRpiBXH pic.twitter.com/N1jNSHIvrS
— 秒刊サンデー公式 (@byokan) January 25, 2016
いくら「表現の自由」が保障されているとはいえ、それは「絶対的で無制限」なものではなく、人の名誉やプライバシーを侵害することは許されないものであり、他の人権と衝突する場合、一定の制限を受けざるを得ないと言うのが一般的な考え方です。
こうした考え方を受けて性に関する分野でも、これまで様々な「表現の自主規制」が行われてきました。
日本で陰毛、アンダーヘアのヌード写真が事実上の解禁になったのは1991年1月、篠山紀信撮影の樋口可南子写真集『water fruit 不測の事態』以来と言われています。
でも、樋口可南子の「water fruit」が先駆けかな。きれいで可愛い人だったので、「卍」なんかは衝撃的でした。この方面を切り開いて来た第一人者。今も活躍中ですね。#今日の一冊。http://t.co/HPs3Iw4pHF pic.twitter.com/g5qh6GD040
— g-life (@Good_Llife) February 6, 2015
ヘアヌードが「わいせつ物」にあたるのか否か?
警察当局とのせめぎ合いの中で発表されたこの作品でしたが、結果、警察は摘発を行わず、口頭での警告のみに留めたことにより、これより以後、続々と有名芸能人たちがヘアヌード写真集を発表することになります。
AV業界も同様で、例えば「モザイク処理」においても、「モザイクの大きさ」は当局が判断しているわけではなく、AV業界が独自に設立した倫理審査団体が行っていて、時代によっても変遷しているのです。
かつてAVがVHSのビデオテープだった頃「オマンコ」と言う言葉に自主規制音、いわゆる「ピー音」が被せられていたご記憶のある昭和のお父さんもいらっしゃるかと思います。
今のAV作品ではまずそんなことはないですよね?
これも時代の移り変わりと共に、AV業界の自主規制が変化した現れの一つですね。
そしてここ数年、「催眠」「痴漢」「泥酔」をはじめとする複数のキーワードが「FANZA」で検索できなくなっている事象が確認されています。
ここからは実際に「FANZA」でどのようなキーワードが検索できなくなっているのか?
そして、これは「FANZA」だけで見られる現象なのか?
比較検証するために「DUGA」「ソクミル」でも合わせて検証してみました。
FANZAで検索できなくなった言葉たち
現在「FANZA」ではこれからご紹介するキーワードを検索すると、検索結果がヒットしないか、フィルター機能に漏れたらしきごく少数の作品が表示され、同時に「催眠」⇒「催●」と伏字に自動変換されます。
この伏字のキーワード「催●」を再度検索することで該当の作品を表示することが可能です。
催眠
「催眠」を検索すると1本の動画のみヒットしました。再度伏字の「催●」を検索すると2,058本の動画がヒットしました。
ただしこの中にはタイトルに「催眠」を含む作品以外に、作品の紹介文に「催眠」を含む作品、さらには「催眠」以外の「催」を含む熟語・・・例えば「催淫」などの言葉を含む作品もヒットしています。
下の画像の検索結果では赤枠の作品はタイトルに「催眠」を含む作品、黄枠の作品は紹介文に「催眠」を含む作品、他の2件は「催淫」などの言葉を含む作品となっています。
ちなみにこれらの言葉の内「催眠」のみ、タイトルも紹介文も「催●」と伏字になっています。
いずれにしても作品の中では薬や催眠術で「催眠」状態にしてセックスするシーンが描かれることが多く、犯罪をイメージさせ、助長させると言うことなのでしょうね?
こうした現象は「FANZA」だけのことなのでしょうか?「DUGA」で「催眠」を検索したところ同様に検索結果が表示されませんでした。
「FANZA」同様に伏字の「催●」では検索可能で、「DUGA」ではタイトルが「催●」と伏字になっているものと、「催眠」とそのまま表示されているものが両方ありました。
「ソクミル」では「催眠」「催●」共に検索できず諦めていましたが、Googleなどのポータルサイトから「催眠 ソクミル」と直接検索すると普通に表示され、タグも生きていました(笑)
ちなみに「ソクミル」では伏字にはなっておらず、「ジャンル一覧」「キーワード一覧」などからは「催眠」のタグは削除されているようです。
配信サイトによって対応は異なるようですが、各社何らかの自主規制をしていることは間違いないようです。同様に他のキーワードに関してもリサーチしていきたいと思います。
強姦
「催眠」で検索出来ないのですから「強姦」は当然無理ですよね?やはり検索結果が表示されません。
先ほどの例のように「強●」の伏字で検索すれば一応、検索結果が表示されるのですが、ここで問題が・・・
「催●」の場合「催眠」以外の熟語が少なく、「催事」などAVと関係ない言葉も検索結果に表示されることもないのですが、「強●」の場合、熟語が多く、特に「強制」と言う言葉も伏字にされているために、同じ検索結果として表示されます。
ちなみに「強制」で検索した場合は34本の動画だけ、検索結果に表示されました。
伏字の「強●」で検索した場合は両方の言葉をタイトルや紹介文に含む13,700本もの動画が表示され、実際の検索機能としては役に立ちません。
ちなみに「DUGA」でも同様で、「強姦」では検索不可、「強●」の伏字では「強制」などの熟語を含んだ結果が表示されます。
「ソクミル」では先ほどと同じように「Google」で直接「強姦 ソクミル」と検索すると「凌辱」と言う類義語で検索結果が表示されます。
「強姦もの」によく使われる「孕ませ(はらませ)」「種付け」と言うキーワードは今のところ、検索可能です。
レイプ
「レイプ」も「強姦」と同義語ですが、「強姦」は「強●」の伏字で検索結果が表示されるのに対し、「レイプ」は「レ●プ」の伏字でも検索できません。
「強姦」と言う言葉よりも「レイプ」の方が、よりセンシティブな言葉と捉えられているのでしょうか?
そのように筆者が感じるのは「レイプ」と言う言葉の場合、「FANZA」のような配信サイトだけでなく、AVメーカーでの製作段階で伏字にされている作品が多いためです。
ちなみに「FANZA」ではタイトルや紹介文では「レ●プ」の他に「レ○プ」「レ×プ」など複数の伏字が使われていますが、このうち「レ○プ」では検索できませんでしたが、「レ×プ」では検索結果が表示されました(笑)
「DUGA」でも「レ×プ」の伏字のみ検索結果が表示、「ソクミル」では「Google」で直接「レイプ ソクミル」と検索すると面白いことに「〇〇〇」と三文字の伏字で検索結果が表示されました(笑)
陵辱
「陵辱」の場合も検索不可、「陵●」の伏字で検索すれば2,677本の動画がヒットします。
「陵辱」の意味を検索すると・・・
1 相手を傷つけるような言動をして、恥をかかせること。
2 暴力で女性を犯すこと。
とあります。
【1】の意味では問題ないと思いますが、【2】の意味は「強姦」「レイプ」と同義なので、やはり問題があるのでしょうね。
ただし別の意味も含んでいることから「強姦」「レイプ」よりはソフトな表現と捉えているのか?先ほどの「ソクミル」の例のように「強姦」の検索結果に類義語として登場するケースもありました。
「DUGA」の場合も検索不可、「陵●」の伏字での検索は可能です。
輪姦
「強姦」「レイプ」が検索できないのですから、当然「輪姦」も検索は不可です。
「輪●」の伏字では6,097本の検索結果がヒットしました。
行為としては「レイプ」よりもさらにハードな「輪姦」ですが、AVメーカー側も「レイプ」は伏字にしているのに「輪姦」はそのままの作品もあり、この辺の基準がいったい何を根拠にしているのかは不明です。
「DUGA」も同様に検索不可、「輪●」の伏字での検索は可能、「ソクミル」でも伏字で検索可能ですが検索精度が悪く、関係ない作品も表示されるため、「Google」から直接「ソクミル 輪姦」と検索するのが無難です。
犯され
「強姦」「レイプ」と同義語ですので当然検索不可、「犯●れ」の伏字検索で結果が表示されます。
しかし、こちらは「DUGA」では今のところ伏字でなくても検索可能です。
「ソクミル」はこれまでと同様、サイト内検索では表示されませんでした。
奴隷
「奴隷」は14本だけがヒットすると言う微妙な結果となりました。「強制」と同じように恐らく「FANZA」のフィルター機能の精度によるものなのでしょうね?
「奴隷」の意味を検索すると・・・
1 人間としての権利・自由を認められず、他人の私有財産として労働を強制され、また、売買・譲渡の対象ともされた人。古代ではギリシャ・ローマ、近代ではアメリカにみられた。
2 ある事に心を奪われ、他をかえりみない人。
とあり、本来は性的な意味合いを含まず、検索結果に表示されても良いような気もしますが、AVの世界ではいわゆる「性奴隷」と言う意味で、「AV女優出演強要問題」などもイメージされ、検索結果から削除されたのでしょうか?
「FANZA」では「奴●」の伏字で検索可能、「DUGA」ではそのまま「奴隷」で検索可能です。
「ソクミル」はこれまでと同様、サイト内検索では表示されませんでした。
SM作品によく見られる「奴隷」のキーワードですが、「鬼畜」「調教」と言ったキーワードは今のところ検索可能です。
痴漢
「痴漢」、こちらも犯罪行為なのでNGワードと言うことですね。フィルターから漏れたのか?「FANZA」では18件の動画が検索表示されました。
「痴●」の伏字で検索可能ですが、「強●」の検索に「強姦」と「強制」が含まれるように、「痴漢」の他に「痴女」と言うキーワードが多数含まれるため、検索機能としては十分に機能していません。
面白いことに漢字の「痴漢」ではなく、カタカナの「チカン」ではさらにフィルターから漏れるのか134本の動画がヒットします。
「DUGA」は今のところ検索可能、「ソクミル」はこれまで同様、サイト内検索は出来ませんでした。
「痴漢」とセットでタイトルによく使われるキーワードに「盗撮」がありますが、こちらは今のところ検索可能です。
「痴漢」と同じく「盗撮」も犯罪行為ですが、何がセーフで何がアウトなのか?
少しモヤモヤが残る気もします(涙)
泥酔
「泥酔」、これは流石にちょっと神経過敏な気もしますが・・・「泥酔させて」となるとやはり犯罪行為につながるイメージに繋がるのか?やはり検索から削除され、フィルターから漏れた4本だけが検索表示されました。
「泥●」の伏字で検索すれば検索可能です。
「DUGA」は今のところ検索可能、「ソクミル」もサイト内検索は出来ませんでした。
夜這い
ここまで来ると最早「言葉狩り」の雰囲気も感じますが「夜這い」も検索から削除されています。フィルターから漏れたらしき3本の動画のみ検索表示されました。
「夜這い」をネットで検索すると
1 夜、恋人のもとへ忍んで通うこと。特に、男が女の寝所に忍び入って情を通じること。
2 結婚を求めて言い寄ること。求婚すること。
とあります。
う~~ん・・・問題ないような気もしますが・・・やはり「無理矢理」と言うニュアンスを含んでいると言うことでしょうか?
ちょっと神経質になりすぎているようにも感じます。
「FANZA」では「夜●い」の伏字で検索可能、「DUGA」はそのまま検索可能、「ソクミル」もサイト内検索は不可となっています。
まとめ
今回の記事では「FANZAで検索できなくなった言葉たち」と題して、各動画配信サイトで検索不可となっているキーワードについてリサーチ、検証してみました。
結果としては「FANZA」だけでなく、「DUGA」「ソクミル」でも差はありますが、検索できないキーワードが増えつつあると言うことがわかりました。
キーワードの共通点としては「犯罪を助長する」「犯罪をイメージさせる」キーワードが中心です。
ただし、「FANZA」や「DUGA」では伏字でぽぼ検索可能、「ソクミル」ではGoogleなどのポータルサイトから「ソクミル キーワード」でほぼ検索可能で、抜け道はあるようです。
これらのキーワードが検索できなくなった理由としては、ネット上ではクレジット会社やPayPalの審査が厳しくなったためと実しやかに言われていますが、真相は不明です。
個人的には2016年に表面化した「AV出演強要問題」や2014年に改正されたいわゆる「児童ポルノ禁止法」も少なからず影響を与えているのかな?と思っています。
ただし、「女子校生」「JK」「ロリ」と言った「児童ポルノ」に関連するキーワードは、現状検索可能です。
いずれにしても「自主規制」と言っても、検索機能に自主規制をかけただけであって、作品そのものが削除されたわけではありません。
ユーザーにとっては単に使い勝手が悪くなっただけで、本来の「自主規制」とは程遠い、表面的な対応の様にも思いますが、それでもAVファンにとっては「作品が削除されるよりはマシか?」と言うのが本音かも知れませんね?