2022年6月中に可決、成立、施行までされたAV新法。
ツイッター等で関連ツイートが拡散されており、目にした方も多いのではないでしょうか。
しかし実際詳しいことはよくわからない、という方も多いはず。
そこで今回は巷を賑わせている(ほぼ炎上状態)AV新法の概要やそれに対するAV女優や業界の反応をご紹介します。
AV新法が成立!現場の声を聞いていないスピード可決に業界唖然
出典:男女共同参画局
2022年6月15日の国会で可決、成立したAV新法(AV出演被害防止・救済法)。
もともとこの法案が持ち上がったのは、2022年4月1日の民法改正によって、成人年齢が18歳に引き下げられたことがきっかけでした。
民法では、未成年者は親の同意を得ずに契約した場合、それを取り消せる未成年者取消権を有するとしています。
しかし今回、成人年齢が引き下げられたことで、18、19歳の若年者が悪質な契約を結ばされるのではないか?という懸念から、支援団体を中心に訴えが起こり、それに付随する形で「AVの契約の規制もするべき!」という論調も生まれました。
そして実際に成人年齢の改正が行われてから2か月半という早さで、AV出演者がほぼノーリスクで契約を解消できる新法案が成立し、6月23日から施行となりました。
この流れを見ると、AVに出演する女性や若年者を守るためのよい法案に思えますが、実際にはファンや業界から批判が殺到する結果に!
先日、AV業界の皆様の団体である一般社団法人プロダクション協会の皆様からもお話を聞きましたけど、現場の意見は全く聞きにこなかった、意見調整の場もなかったと言ってましたね。部外者が外から勝手に作った法律。現場の意見すら聞かずに問題が起きた場合の責任はとれるのか。 https://t.co/GTFpMrn0wy
— 大田区議会議員_おぎの稔_メタバース議員系Vtuber🏭🛫💉💉 (@ogino_otaku) June 21, 2022
批判が起きた原因の1つが「現場の声を聞かずに、法案が作られたこと」。
AVの契約で起こる被害を回避する法案にもかかわらず、事前に被害状況を調査した様子が見られなかったのです。
その裏付けとして、SNS等の発信媒体を持つ女優・メーカーからも「法案のことで国から話を聞かれた」とする証言はまったく出てきていません!
おっしゃるとおりです。3月31日に会議出席のお呼びが突然かかり、その席で「1分」だけ発言が許され、大筋の考えを示し、資料提供などはいつでもしますと述べました。その次に出席の機会をいただけたのが5月9日でした。その時にも全体で5分という制約の中で発言をしましたが、おっしゃるとおりです。 https://t.co/megdhyG8UO
— YokoShida (@YyYySinger) June 12, 2022
一応、AV人権倫理機構の代表理事である志田陽子氏が、ごく短い時間、話を聞かれたとツイッターで証言しています。
しかしこの団体は第三者機関で、聞き取りも「1分」「5分」の2回だけ。
これを「調査結果」とするにはあまりにずさんです。調査時間6分て!今時、落第生でももっと勉強するよ!
フォロワーにAV業界人が多いので、今後何度でもほじくり返そうと思う。
立民塩村議員いわく、AV新法はAV業界側にばかり話を聞いて作った、業界寄りの法案らしいよ。
AV業界にそれほどヒアリングしてたなんて、オレは聞いた事なかったわ。
誰か国に話を聞いて貰えてた業界人おる? https://t.co/F27Es5zaFO
— 「参院選全国比例・要友紀子を応援している」荒井禎雄(専業主夫を志望するフリーライター) (@oharan) June 9, 2022
参議院議員の「業界に細かくヒアリングした」と述べるツイートに対し、「デマだ」とする声も。
国側とAV業界が真っ向から対立する構図が生まれています。
そしてAV新法で問題なのは、これだけではありません!
AV新法の問題点
1.契約から撮影、撮影から公開までの期間が長い
新法の第7条に「撮影は、契約書等の提供から1か月以降とする」というものがあります。
また第9条には「作品の公表は撮影終了日から4か月以降とする」という条文も。
つまりこの2つの条文に沿えば、メーカーは最短でも契約から5か月経過しなければ、作品をリリースできないことになります。
撮影や映像編集などのもろもろの時間も含めれば、実際にはもっと期間が長引くので、これだけでもメーカーからすれば大打撃です。
@Muranishi_Toru
AV新法が可決されました。2年後の改正で本番禁止も検討するとの事です。
(ツイートにある支援団体とは、papsなどAV規制派団体のこと。)
今後の2年間で議員や政党にロビーしないと、AV禁止が現実化します。https://t.co/0STIs6KFXJ— 高村武義 #WalkAway (@tk_takamura) June 14, 2022
さらにツイッター上には「2年後の改正で本番禁止も検討する」との情報も。もし本番禁止になったらAVは全部素股になるのか…!?古代スパルタの同性愛じゃないんだからさ!
2.女優の一存で契約を解除される
新法の第13条に「出演者は任意で映像公表から1年間(※施行後2年は「2年間」)は契約を解除できる」という条文があります。
しかも第13条の3項には「任意解除があった場合は出演者に損害賠償を請求できない」とする条文が。
AV新法での原状回復義務に商品の回収義務は含まれませんよ。#AV新法の廃止を望みます pic.twitter.com/YPu0nC1ZGC
— Riosi #AV新法の廃止を望みます (@rioss1_414) July 4, 2022
このツイートによると、一応、女優に支払った出演料などはメーカーに返還され、商品回収義務もないようです。
しかし撮影料は女優に支払う必要がある上、そもそも契約を解除されると作品の公表ができなくなるので、AVの製作コストを考えれば女優に契約解除されるのは何としても避けたいのがメーカーの本音といえます。
3.AV女優や男優の仕事が減る
そこで起こるのがこの問題!
出演者にキャンセルされるリスクを回避するために、メーカーが女優や男優に仕事を回さなくなり、AV産業そのものが衰退していく恐れがあります。
7月決まってたAVの撮影が全部中止…
AV新法で女優が守られるどころか仕事が無くなって現役の女優たちが苦しむ構図って誰得なん。。— 金苗希実🥇🌱✨ C100土曜西く39a (@_non_nozomin_) June 19, 2022
このように実際に撮影が中止・延期になった事例は後を絶たず。
特にまだメーカーと信頼関係を築けていない経験の浅い女優・男優への影響が大きいことが予想されます。
メーカーからすればよく知らない人と契約して後でキャンセルされたら、たまったものではありませんからね!
AV出演者を守るための法律が、逆に女優や男優を苦しめる結果になるという皮肉な事態を招いたわけです。
AV業界の反応まとめ
AV新法に感謝する現役AV女優は誰一人としていない。
— きみと歩実(紀見歩實)『産声が聴こえない』(舞台7/6~10 新宿スターフィールド) (@kimito_ayumi) June 22, 2022
AV新法の対応に追われとてつもなく大変な日々でした。
メーカーさんや事務所さんが対応に追われ皆さん疲労で顔が青ざめていました
私も仕事の合間に沢山の契約書に判子を押したりバタバタで🥲
可決して今後本当に日本のAVが消えてしまいそうで怖いです
私達から大切なものを奪わないで下さい— 大槻ひびき♡7/12六本木レッドドラゴン (@hibiki0221) June 14, 2022
AV新法に関して色んな意見が有るけど。
正直、迷惑な作業と労働が増えました。
第三者は口を挟まないでくれ。
「お前が出演するなら話は別だが。」
現場からは以上ですって感じだな。
— 滝川 恵理 (@Sarah8Mellow) June 14, 2022
数え切れないほどにAV作品に出演のAV女優さまが「AV新法」では出演5カ月後でなければ作品を発表できず、破れば罰を受けることになるという憲法違反の新法。こうしたAV女優に対する職業差別と表現の自由を奪う悪法を黙って許すワケにはいかない、が道なき道を歩いてきたエロ事師の立場でございます
— 村西とおる (@Muranishi_Toru) June 15, 2022
もしかしたら現場ツイートも今後できないかもしれないんだよね。
それが作品の公表と捉えられかねないから。女優本人が作品を売れるようにするための宣伝活動まで規制されてる。
— 月島さくら✿ #適正AVを守る (@sakuratsukisima) June 21, 2022
「反対署名活動」が本格的に開始
今業界内外で話題に上ることの多いAV新法についてですが、AV新法がこのまま進んでしまうと、この業界の誰もが負担となっていきます。できるだけ多くの方の署名を集めたいと考えています。AV新法をみんなで変えましょう💪
以下のキャンペーンに賛同をお願いします!https://t.co/SXUuGdoZ7i— 悠月 リアナ (@riana_yuzuki) July 1, 2022
そんなメーカー、AV出演者双方にとって迷惑千万なAV新法ですが、女優・プロダクションを中心に反対署名活動が。
AV新法の執行停止に向けた署名、7500を超えて10000の背中がようやく見えてきました!
また今日から発起人に、Qべぇさんと私の他、女優兼監督の金苗希美さんも加わっていただきました!!
コツコツと署名集め続けていきますので何卒宜しくお願いしますm(_ _)m
→https://t.co/ia8SD4bNez— 宇佐美典也 (@usaminoriya) July 5, 2022
それぞれ異なる署名キャンペーンですが、どちらもすでに賛同者が7,500を超えており、すぐにでも10,000人に達成するのではないかという勢いです。
署名活動を応援したい方は上記のツイッターから寄付ページに行き、賛同してみてはいかがでしょうか(私もAVの記事を書く仕事柄、AV産業が衰退すると困るので、微力ながら賛同しました!)。
そもそもAV業界は「適正AV」が大半のクリーンな業界
現在、AV業界には「適正AV」という枠組みがあります。
これは第三者機関の審査を経て、出演者の年齢、契約内容、著作権の所在が公正なものであると認定されたAVのことです。
そして重要なのは、現在のメーカーや女優の大半はこの「適正AV」の範囲内で活動しているということ。
つまり、もともと未成年者や出演者が不当な契約を結ばされないようにするためのAV新法だったわけですが、業界はすでに手を打っていて、それで問題なく回っていました。
その点を考えれば、今回、国がしたことは完全に余計なことだったと言えそうです。
AV女優の一存で撮影した作品を公開不可に出来るAV新法。
撮影費用、イベント費用、人件費など製作会社の払ったお金は女優に請求出来ません。
結果、まともなAV産業は縮小して、半グレが女性を騙して撮影した動画が海外ポルノサイトで公開されて、被害者救済も出来ないし税収も雇用も無くなるオチかと。 https://t.co/K6LC6wCwxI— ひろゆき (@hirox246) June 22, 2022
それどころか正規の仕事が減ることで、FC2等の同人AVや海外ポルノサイトに女優が流れる危険性も!
ルールが厳しくなりすぎることで、逆にルールから抜け出す人が増え、ポルノ出演の被害者も増えるという本末転倒な未来がやってくるかもしれません。
まとめ
今回の経緯をまとめると、
・AV新法の主な内容は、AV出演者が任意で契約解除できること、その際、メーカーは損害賠償を請求できないこと。
・現場を無視した法案作りに業界、ファンが激怒。有名女優や監督もツイッターで猛批判。
・反対署名活動開始(←今ココ)
となります。
AV出演者にあまりに有利な法律のため、リスク回避からメーカーが女優・男優・スタッフに依頼を回さなくなり、結果的に苦しむ人が増えるだけ、というのが批判の要点です。
しかしなんだかんだ言っても、政治家の人たちはみんな賢いですから、今回の法案も業界の実態を調査していないとはいえ、何か考えがあってのことなのだと思います。
決まっていた撮影が中止に?なぜ?救済法は施行日以前に交わした契約は有効です。まだ施行日ではないし、7月の撮影を中止にできる法律ではありません。特にこれまで継続していた女優さんであれば信頼関係もできているはずなので、中止にする理由を確認したほうがいいと思います。 https://t.co/0ksyjXRIIf
— 塩村あやか💙💛🐾参議院議員(りっけん) (@shiomura) June 20, 2022
うーん、大丈夫かな…。